2005年 04月 10日
なぜ、ストックオプションは費用計上しなくてはいけないのでしょう? 1 |
シリコンバレーのS社で働く友人からチェーンメールが回ってきました。
「ストックオプションを救え!ストックオプションを会社の経費として計上するべきであるという規則の撤廃を目指すためのブッシュへの嘆願書です。是非署名をお願いします!」
http://savestockoptions.grassroots.com/
。。。まだやってたんですか、この議論。
昨年12月にFAS123R-株式報酬の会計処理、がリリースされて、実務対応の研修も終了しました。
友人には申し訳ないですが、私の意見としてはストックオプションは費用処理すべき です。ので、サインアップはせず、メールで署名できない理由を書いておくりました。
反対派の言い分としては、
・金銭の支出を伴わない報酬を費用処理するのはばかげている
・何年も先の行使価格を予測して費用を計上するその根拠がわからない
といった二点が大きいとおもいます。
まず。金銭の支出。確かに交付時点では株式を取得する権利を与えるだけで会社の「費用・損失」は何も発生していないかのように見えますね。
でも、金銭の支出を伴わない経済行為というのはおよそないのです。
数年後、従業員がオプションを交付して株を安価に買い取ったとします。そのとき市場でその企業が調達できたより安い金額でです。その場合、「本来より入ってくるお金が少なかった」という機会損失が発生するわけです。で、当然株の価値は希薄化しますね。それをリカバするために、自己株式を買入消却して希薄化を解消するとします。ここで金銭支出が発生するわけです。その金銭支出は元をたどれば、過去何年かの従業員の労働に対する対価です。会計上は費用と収益を対応させるという大原則があって、過去の収益に貢献している過去の労働の対価はやはり過去の期間に認識する必要があります。ということで、ストック・オプションを付与した時点で費用計上する、ということに対するテクニカルな説明はつくのです。
そして、何年も先の行使価格、を予測しているわけではありません。理論的に求められる現時点での公正価値というものを計算しているのです。無論、オプションの公正価値を求めるのは容易でなく、実際結果とちがうと言うこともあるでしょう。でも、それは他の多くの時価会計を適用しているデリバティブも同じですし、退職給付もそのひとつです。現在の財務諸表は多くの仮定と予想に基づいて作られています。そこに、どうして投資家が信頼を置くことができるか、といえば、全ての会社が同じルールのもとに開示をしているという、そこに尽きるわけです。
会計には比較可能性というものが求められています。従業員に金銭で報酬をあたえても、ストックオプションの形で収益を与えても、同じ経済効果がある場合は同様の会計処理がされるべきというのが原則的な考え方なのです。金銭でのみ報酬を支払ったA社とストックオプションでのみ報酬を支払ったB社、まったくオペレーションは同様だったとして、報酬が費用処理されていないB社のほうがずっと多い利益を計上する。もちろん、今までもFoot Note 注記という形でいくらストックオプションにかかるコストが発生しているかというのは開示されていたわけですが、投資家にとってわかりやすい財務諸表を、というのがSECの考える投資家保護策です。実際、多くの会社の株主総会で、株主からはストックオプションの費用処理が過半数の決議を得て要求されています。
会社は従業員のものではなく出資をしているひとのものです。勿論従業員であっても株をっている株主ならば、という話もありますが、正確には「一番たくさん金銭を出資しているひとのもの」なので、やはり、大口投資家にとってわかりやすく、そして彼らの株式が希薄化するのであればそれが見える会計、というのが求められるのは資本主義の道理といえましょう。
反対をしている人というのはこれから先もまだ、ストックオプションがほしいのでしょうか。やはり、「濡れ手に粟」の可能性を取っておきたいということでしょうか?
(つづきます)
「ストックオプションを救え!ストックオプションを会社の経費として計上するべきであるという規則の撤廃を目指すためのブッシュへの嘆願書です。是非署名をお願いします!」
http://savestockoptions.grassroots.com/
。。。まだやってたんですか、この議論。
昨年12月にFAS123R-株式報酬の会計処理、がリリースされて、実務対応の研修も終了しました。
友人には申し訳ないですが、私の意見としてはストックオプションは費用処理すべき です。ので、サインアップはせず、メールで署名できない理由を書いておくりました。
反対派の言い分としては、
・金銭の支出を伴わない報酬を費用処理するのはばかげている
・何年も先の行使価格を予測して費用を計上するその根拠がわからない
といった二点が大きいとおもいます。
まず。金銭の支出。確かに交付時点では株式を取得する権利を与えるだけで会社の「費用・損失」は何も発生していないかのように見えますね。
でも、金銭の支出を伴わない経済行為というのはおよそないのです。
数年後、従業員がオプションを交付して株を安価に買い取ったとします。そのとき市場でその企業が調達できたより安い金額でです。その場合、「本来より入ってくるお金が少なかった」という機会損失が発生するわけです。で、当然株の価値は希薄化しますね。それをリカバするために、自己株式を買入消却して希薄化を解消するとします。ここで金銭支出が発生するわけです。その金銭支出は元をたどれば、過去何年かの従業員の労働に対する対価です。会計上は費用と収益を対応させるという大原則があって、過去の収益に貢献している過去の労働の対価はやはり過去の期間に認識する必要があります。ということで、ストック・オプションを付与した時点で費用計上する、ということに対するテクニカルな説明はつくのです。
そして、何年も先の行使価格、を予測しているわけではありません。理論的に求められる現時点での公正価値というものを計算しているのです。無論、オプションの公正価値を求めるのは容易でなく、実際結果とちがうと言うこともあるでしょう。でも、それは他の多くの時価会計を適用しているデリバティブも同じですし、退職給付もそのひとつです。現在の財務諸表は多くの仮定と予想に基づいて作られています。そこに、どうして投資家が信頼を置くことができるか、といえば、全ての会社が同じルールのもとに開示をしているという、そこに尽きるわけです。
会計には比較可能性というものが求められています。従業員に金銭で報酬をあたえても、ストックオプションの形で収益を与えても、同じ経済効果がある場合は同様の会計処理がされるべきというのが原則的な考え方なのです。金銭でのみ報酬を支払ったA社とストックオプションでのみ報酬を支払ったB社、まったくオペレーションは同様だったとして、報酬が費用処理されていないB社のほうがずっと多い利益を計上する。もちろん、今までもFoot Note 注記という形でいくらストックオプションにかかるコストが発生しているかというのは開示されていたわけですが、投資家にとってわかりやすい財務諸表を、というのがSECの考える投資家保護策です。実際、多くの会社の株主総会で、株主からはストックオプションの費用処理が過半数の決議を得て要求されています。
会社は従業員のものではなく出資をしているひとのものです。勿論従業員であっても株をっている株主ならば、という話もありますが、正確には「一番たくさん金銭を出資しているひとのもの」なので、やはり、大口投資家にとってわかりやすく、そして彼らの株式が希薄化するのであればそれが見える会計、というのが求められるのは資本主義の道理といえましょう。
反対をしている人というのはこれから先もまだ、ストックオプションがほしいのでしょうか。やはり、「濡れ手に粟」の可能性を取っておきたいということでしょうか?
(つづきます)
by lat37n
| 2005-04-10 05:28
| 会計基準


