2006年 04月 19日
Craig氏のいるカフェ |
やっと晴れ間が続くようになったサンフランシスコ。本格的な春の到来のようです。
ちょっと探し物をしておりまして、Craigslistをちょこちょこ調べる日々であります。
Craigslistは米国の大都市で生活したことがある方ならきっと一度は見たことがある、ハウジング、職探し、中古品の売買、などの情報を入手できる巨大ポータルサイト、というか掲示板群ですが、もともとはサンフランシスコ発です。
オーナーのCraig氏は1995年、サンフランシスコでCharles Schwabのアナリストとして働きながらCragslistを立ち上げた方。当初は、ベイエリアで開催される芸術・技術関連のイベントについて彼の友人たちに知らせるための個人的なものだったそうであります。しかし、まさにドットコムブームの黎明期、サンフランシスコには多くの労働者が流れてきて、アパートや仕事を見つけるための場所を求める人々のニーズが高まっていた時期で(その当時の話を聞くと、クローゼットみたいに狭いアパートを借りるのに月1500ドルとか、空き部屋の新聞広告を見たら朝5時からチェックブックを握り締めて並んだ、だとか、ともかく、壮絶だったようです)、その需要に乗ったCraigslistはサンフランシスコに関するあらゆる情報を提供する巨大サイトへと成長します。そこから全米展開を遂げるまでは5年かからず。
10年後の現在、同サイトは12カ国76都市に及ぶ地域に特化した情報サイトに。実は東京のページもあります。残念ながらまだまだ、あまり使えなさそうなんですけれどね。
未公開企業なので財務状況の詳細はわからないのですが、広告収入は700万~1000万ドルと報じられています。社員は19人。Craig氏とCEOとして彼を支えるJim Buckmaster氏のほかは他、あとはプログラマーが10名弱とアドミニストレーションが数人という小規模所帯。
ユニークなのは基本的にクレイグスリストはコミュニティーサービスでありビジネスではない、とCraig氏が言い切っていること。
(NPOではなく、incorporated as a for-profit in 1999 なんですが、彼の理念としてはそうだということでしょう)
San Francisco、Los Angeles、New Yorkの3つの町のみで広告料をとっており(しかも市価よりもはるかに安い価格で)それがクレイグスリストの唯一の収入源です。おかげさまでベイエリアの新聞は6000万ドル分もの求人広告収入を失っているとか。Craigslistの広告料は他媒体の5%から20%と、たしかにコミュニティサービスもいいところという値段なのです。
これを本格的にビジネス化したときのポテンシャルの大きさから、買収の話は引きもきらないそうで、実際E-Bayが25%も株式を保有しているのですが、
"Why doesn't craigslist focus more on generating revenue?" という問いに対し、
"We rely on local communities to suggest ways to make money without compromising craigslist."
・・・・なんというか。まあ、こういう人がたまにはいてもいいような気がしますね。
さて。
なんとなくこのサイトが気になるのは、わたしがサンフランシスコに来て初めて住んだところがそのCraig氏のご近所(Topの写真はその界隈です)で、よく行くカフェや路面電車の停留所で何度もお見かけしていたせいでもあります。
あの変な帽子かぶって犬を連れているおじさん、カフェで良くみるよなあ、と思っていたら、そのエリアに15年ほど住んでいるというカフェの常連さんがこそっと、「あれが、CraigslistのCraigだよ」と教えてくれたのです。
コミュニティに貢献する名士は、いつもちょっと憮然とした顔でコーヒーを飲んでいらっしゃいました。
本人もBloggerでどこに住んでいるかあっさり書いてるわけなんですが、そのCafeとはRevrie(夢想)という名前。Muni N-judah のCarl and Coleをおりてすぐの赤い建物。
そのあたりをCole Valleyと呼ぶのですが、ゴールデンゲートパークとMount Sutroの丘の間、街中にしてはとても緑の多く、ビクトリアンハイツの並ぶサンフランシスコらしい町並みのCozyな住宅地です。近所にリセがあるのでフランス系の住民が多いとのこと、そのためフレンチのパン屋やおいしいビストロ、チーズ店など、メインストリートのColeに可愛らしいお店が並びます。
Cafe Revrieで霧の濃い夏の日曜日の朝、中庭でコーヒーを飲むのがとても好きでした。お酒も出すカフェなので、休日の午後、隣のチーズやさんで買ったチーズを持ち込んでワインを飲んだこともあったな。
その界隈から引っ越してしまってしばらくたつんですが、今でもサンフランシスコの中で一番好きなカフェのひとつ。この週末にでも久しぶりに行ってみようかな。
by lat37n
| 2006-04-19 07:20
| Life in California