2005年 09月 17日
不正と監査 1 |
不正対応がらみのUPDATE研修に参加していました。Nation Wide研修だったため場所はテキサス。飛行時間はたかだか3時間半なんですが、Loan Star Stateの誇り高いテキサスはカリフォルニアからみると異国です。いえ、カリフォルニアがアメリカのなかの異国と言う意見もあるでしょうけれど。
アメリカの監査のAssuranceのレベルは、平均点をつければ日本より高いと私は感じています。それはアメリカの方が優れているとかでなくて、単純にアメリカでは訴訟が多く、それに備えなくてはいけないからなのですけれど。
Auditing Standards (SAS)\Original Pronouncements 99: Consideration of Fraud in a Financial Statement Auditにおいて不正は二つの類型に分けられるとされており、6. Two types of misstatements are relevant to the auditor's consideration of fraud — misstatements arising from fraudulent financial reporting and misstatements arising from misappropriation of assets. 前者が財務報告における虚偽の報告、後者が資産の横領。エンロンやカネボウの件は前者、会社の経理担当者が会社資金を流用していたなんて場合が後者で、どちらも財務諸表上の重要な虚偽記載に通じるものであれば発見の義務があるものです。
まずはACFE提供のビデオを見ながらインタビュースキルについての研修。それから監査経験のあるコンサルタント(CFEかつCPA)に指導をうけながら「不正を隠そうとするクライアント」と「それを追及する監査人」のロールプレイ。
不正を発見するインタビュースキルといっても、結局一般的なはなしですどね。…kind of ….a sort of…something like that…といったVagueな言葉を多く使う場合は怪しい、とか。同じ質問を別の角度から持ちかけて話のつじつまが合わないところをつつく、とか。You Know、といってこっちをまきこもうとする態度、まばたき、落ち着かない手の動きに注目する、とか。
まあ、わざわざ研修を受けずともボーイフレンドの浮気を追及する女性なんかは自然にやってることじゃないかしら(笑);p
私にとってはやはりインタビュースキル自体がまだまだ向上の余地があるのですけれどね。監査でインタビューを行う機会は非常に多いですが私の英語は大人になってから身につけたレベルでネイティブには程遠いため、楽ではありませんし、センシティブな内容になれば自分の英語力不足による理解不足で間違った判断を下したら。。。と毎回非常に緊張します。いくつか、必ず行うインタビューについては仲のいい同僚相手に、「こういうときこうやって質問するといいとおもう?」「こういう言葉をつかうとスマートかな?」などと練習もしてきましたが。大切なのは英語が下手でも丁寧ながらも態度やしゃべり方でこっちがイニシアチブをとることですね。それが難しいわけですが。
ただ、そういったInterview Skillはおそらく、misappropriation of assetsのケースには使えると思うのですが、fraudulent financial reportingに関しては、上記のインタビュースキルのようなものが高いレベルの判断で要求されるシーンは考えづらいんですよね。巧妙に隠して勝手にやってくれたら「隠されてた」「しらされていなかった」「通常の監査手続きでは見つけることは不可能だった」で通る可能性もあるんですが、昨今問題になっている会計不正のほとんどはクライアントから手の内を明かされて 「ここまでだったらやってもいいか?」という制度アービトラージの話になり、そこでアグレッシブな判断をしてしまった。。。ということと考えられるので。タフなネゴシエーションに耐え、事務所の許せるラインを守りつつクライアントの信頼もつかみ続けるパーソナリティーがなければEngagement Partnerとしてやってはいけないという時代だと思います。
さて、現場レベルの監査人の義務は、監査の過程で見つかるべきだったと後で言われてしまわない発見をし、適切なドキュメンテーションを整えることです。
この財務分析はビジネススクール等でも使われているある有名な事例なのですが、Preliminary Analytical Reviewの段階でこんなFinancialsが出てきたらインチャージとしてどんな判断をしますか?というCase Studyです。
分析対象はAAA社、3年間で年商五倍に成長しているこの会社。XX04年中にIPOもしております。
ここにリンクいただいている方は財務諸表に日常的に触れていらっしゃる方も多いと思うのでよかったら頭の体操程度に考えてみてくださいませ。(回答はのちほど)
by lat37n
| 2005-09-17 03:21
| 会計監査